【南森町雑記】kantyukyo よこたよしか個展「分陰」に行ってきました

京都の船岡山近くにあるkankakariで開催中の「kantyukyo よこたよしか個展「分陰」」を見てきました。

大徳寺とか建勲神社とか自家焙煎珈琲ガロがすぐそこの素敵な場所にkankakariはありますので気になる方は行ってみてください。店構えといい、入った瞬間の胸を掴まれるような雰囲気といい、良い場所です。

展示の主旨はこちらをご覧ください。

アカメガシワの葉を水と葛で象ったものがそれぞれ天井から三本の糸で吊るされています。展示を見始めた時は、そよりともしない葉が不愛想に吊るされているものなのかと思いました。動かない葉を見つめると綺麗に象られた葉脈の動きや虫食い穴が沢山あることが目に入りました。kankakariの方が言うには、不規則に空いた虫食い穴が星座のように見えるとのことで、姿勢を低くして葉っぱ群を見ることを勧められました。なるほど確かに星座と言えなくもない。あと葉っぱって怖いものなんですね。

空間に人が増えて、その度に建具が開かれて部屋の空気が動き出し、暖房の風が強くなると、天井に吊るされた葉がゆるゆると回転していることが分かりました。星座と呼ぶには動きすぎていて、星を感じるにはkankakriは土が強すぎます。出入口の土間と部屋を囲うように整えられた土壁と床に張られた丈夫な地板の存在が、ここは天空を眺めるようなフワフワ浮いた場所ではないことを伝えているような錯覚を覚えました。

kankakariの方から、作者は水と葛で作ったこの乳白色を透明と捉えていることを聞いて思い付きました。自分が土に潜っているモグラで、地表を見上げているのだとすれば、そして土が透明だとすれば、そうだとすればこの葉っぱ群は地表を覆っていて、揺れて影の形を変える様子もそよ風に揺らされる落葉なのだと考えることも出来ると。

葉っぱ群を上から見下ろすのではなく下から見上げる時に、想像上の自分の立ち位置を土の中にすら置いてしまえることを、その可能性を楽しめる展示でした。